米津玄師「Lemon」のカップリング「Paper Flower」を聴くと、アンナチュラルがよぎる




今日は金曜日。
私の心は、どこかポッカリと空いてしまった。

理由は分かっている。
この3ヶ月間の毎週末の所為だ。
アンナチュラルの所為だ。

散々楽しませておいて
散々夢中にさせておいて
あっという間に終わってしまうなんて。

ロス。
完全にアンナチュラルロス。
はやく手元にDVDが欲しい。
録画を消去した私のあんぽんたん

ここ1週間の私は、まるで何かに取り憑かれたかのようにアンナチュラル最終回を見まくっていた。

迎えた祝日。
雨の日を言い訳にして衣替えは後回し。
この3ヶ月で溜まっていた想いの丈をポチポチ指先で吐き出していた。

ノンストップで書き上げた。
その文字量はちょっと自分でも引いた。
そして保存せずに消去してしまった。

固まった。

蚊の鳴くような細い声が出た。
背中は丸くなり、頭はしな垂れた。
もう溜めてたエネルギーなんて残ってない。
でも文字に起こして昇華できてスッキリした。

もういいよ、DVDが届いてからもう一度見直して、気持ちが乗ったら感想くらいまた書くよ。

そしてこの1週間、主題歌のLemonも取り憑かれたように聴きまくっていた。もうどっぷりと。

でも先の件でスッキリしたら、音楽アプリのリストがすこし俯瞰して見れた。
そしたらあることに気づいた。

そうだ、まだカップリングを聴いてなかった。

やっと抜け出せたと思ったアンナチュラルのループ。
まだまだ抜け出せないとは聴く前には思わなかった。


米津玄師「Lemon」のカップリング、
「Paper Flower」のアンナチュラルみがすごい。

米津玄師ご本人は、あるインタビューで

曲を作るときに作品全体としてのバランスは考えますか?

との問いに対し、

あんまり考えないですね。今回は「Lemon」のあとにカップリングを作ったんですけど、最初から決め打ちで「こういう曲にしよう」って作り始めたわけじゃなくて、なんとなくやっていけば、やっていくうちに取っ掛かりが見えるんですよ。 その取っ掛かりを手繰り寄せていって、結果的に「こういう曲になりました」っていう感じです。

と語る。

曲自体はスローテンポで洋楽っぽい雰囲気がありつつも、少し気怠そうで、足元危うそうな印象を受けた。
しかも不協和音が多く、飛び道具の様な音も散らばり、それもまた不安を掻き立てる。
まるで薄暗闇の中を彷徨っているような。

砂漠が好き、と彼は言う。

俺は砂漠が好きなんですよ。砂漠って不毛の土地であって、人が住むのに 適した場所ではないじゃないですか。だから物語とかででも「いろんなものが滅んだ あとの場所」として描かれたりする。ただ、それがすがすがしいというか、すごく気持ちよくて。普段、この小さな国で肩を寄せ合って、すし詰め状態になりながら生きているからこそ、なんにもないだだっ広い開放感みたいなものに憧れるのかもしれないですけど

なるほど、これに通じるものを「Paper Flower」にも感じたのか。
ディストピア的とは、よく言ったものだ。

故にカップリングだからといって別段アンサーソングという位置付けでも、関連性を持たせた訳でもない。

でも私はこの歌を聴くと、アンナチュラルがよぎる。
特に、中堂系と糀谷夕希子のふたりのことが、どうしても頭をかすめる。

それは歌詞のちょっとしたことろで。ドラマでは描かれなかったシーンが何故か、フラッシュバックするかのように鮮やかにイメージとして脳内を支配する。

例えば、歌い出し。

言葉が出ない 何をしていても 最後に残るのは グズついた 愛
祈るように眠る あなたを見ていた

もう、棺の中で手を合わせた恋人の遺体を前に呆然と立ち尽くす中堂さんしか見えない。
※ドラマの描写にそんなのはない。

そして続く。

陸橋の手すりに登り お月様眺めてふらり
ほころんだ空洞の中で ここだけが世界の終わり

最愛の人を失った彼の喪失感とか、孤独感が浮かぶ。

白けた日々よ泡になれ ハレルヤ

サビ前のこの歌詞。
まるで死者を弔うかのよう。
そしてサビを迎える。

目の前の思い出が消えていく
あの時あなたはなぜ泣いていたの?
花が落ちるスピードで歩いていく
止まることのないメリーゴーラウンド

彼女が突然消えてしまったことに対しての悲痛さや後悔、疑問がぶつけられて胸が締め付けられる。
ひどくゆっくりで出口の見えない、灯りの見えないループに飲み込まれてしまったかの様な、赤い靴の様な、そんな絶望的なサビ。泣きたい。

遠くで湧き上がるコメディ その裏に隠したトラジティ
フィキサチーフで仕上げたヒューマニティ 巧妙に謳った神様のパロディ
7号線レイトショー帰り 全てがスロウになるあまり
喧騒さえ眠る最中で ここだけが世界の終わり

信仰に縋っても救いなんて無いと嘲笑われるかのような、自分だけ止まっているかのような、偽りで塗り固めた人間性が炙りだされるような。とにかく悲劇。

積み上げた塔が崩れていく
所詮その程度の知育玩具
私は未だにあなたへと
渡すブーケを作る陰気なデザイナー

ここで目線が女性側になる。
積み上げてきたふたりの関係が音を立てて崩れたのは、絵本が原因だったから、どうしてもそう思考が誘導される。所詮その程度、と。
逆プロポーズをして、目と鼻の先まで幸せが近づいていたのに、恋人とのすれ違いや不条理な事件に巻き込まれて着ることはなかったドレス。それに見合うブーケを死しても尚作る…もう残酷すぎる。


重ねて言うが、アンナチュラル主題歌のカップリングだからといって別段アンサーソングという位置付けでも、関連性を持たせた訳でもない。
でもアンナチュラルロスで勝手に私の都合のいいように解釈した結果、もはやセットです。

多分もうひとつのカップリング、「クランベリーとパンケーキ」と合わせて3曲しばらく聴き続けて、残酷で優しい世界に想いを馳せるんだろうな。

はやく届いてブルーレイ。



Paper Flower 
作詞:米津玄師
作曲:米津玄師

言葉が出ない 何をしていても 最後に残るのは グズついた 愛
祈るように眠る あなたを見ていた
車は向かう トンネルを通り ストローみたいに あなたの胃の中へ
祈るように眠る あなたを見ていた

広告に悪意のグラフィティ ボコボコの自動販売
知った風にはにかんでみたり 知らないふりでニヤついてみたり
陸橋の手すりに登り お月様眺めてふらり
ほころんだ空洞の中で ここだけが世界の終わり

言いたいことなんてそんなない 想像より二人はくだらない
白けた日々よ泡になれ ハレルヤ

目の前の思い出が消えていく
あの時あなたはなぜ泣いていたの?
花が落ちるスピードで歩いていく
止まることのないメリーゴーラウンド

寝室から出るとそこはまた寝室 部屋を出る自分の背中が見えた
祈るように眠る あなたを見ていた
清潔な空気で汚れてしまった 窓の外ブランコが揺れるお庭
祈るように眠る あなたを見ていた

遠くで湧き上がるコメディ その裏に隠したトラジティ
フィキサチーフで仕上げたヒューマニティ 巧妙に謳った神様のパロディ
7号線レイトショー帰り 全てがスロウになるあまり
喧騒さえ眠る最中で ここだけが世界の終わり

言いたいことなんてそんなない 想像より二人はくだらない
白けた日々よ泡になれ ハレルヤ

積み上げた塔が崩れていく
所詮その程度の知育玩具
私は未だにあなたへと
渡すブーケを作る陰気なデザイナー

目の前の思い出が消えていく
あの時あなたはなぜ泣いていたの?
花が落ちるスピードで歩いていく
止まることのないメリーゴーラウンド

積み上げた塔が崩れていく
所詮その程度の知育玩具
私は未だにあなたへと
渡すブーケを作る陰気なデザイナー


「アンナチュラル」やっぱり10話分のサブタイトル全部、最終回で残らず回収してた。




やっぱりだ。
もう好き通り越して怖い、野木亜紀子氏。

感想は一言、感情が忙しくて追いつかない。
めちゃくちゃ面白いドラマだった。

先ずもって、サブタイトル詮索大好きマンの私。
全部スッキリ解決しました。

全話のサブタイトル通して、伏線は3つ隠されてた。

ひとつは言葉通りの伏線、
糀谷夕希子の事件について。

ひとつは相反する伏線、
久部六郎について。

ひとつは最後に詰め込まれた伏線、
第10話について。

ちょっと興奮醒めやらぬで早く本題に入りたいので、前者ふたつは割愛。
とは言いつつ…やっぱり六郎は新たなスタートきれたね。彼は本当に逆を行くね。良かった。

今回の第10話の伏線について考察する前に、
くどいけどおさらい。

名前のない毒
死にたがりの手紙
予定外の証人
誰がために働く
死の報復
友達じゃない
殺人遊戯
遥かなる我が家
敵の姿
旅の終わり

これが、全話のサブタイトル。

これを先週、当てずっぽうで無理くり考えたのが、

名前のない毒 → 人なのか、事象なのか…嘘の鑑定書で有罪でっちあげること?
死にたがりの手紙 → ピンクのカバの絵?絵本?週刊誌の記事?それこそ鑑定書?
予定外の証人 →  容疑者高瀬の裁判
誰がために働く → 連続殺人の罪で裁くため検証を続けること
死の報復 → 中堂が一線越えるのか、それとも別の誰か?社会的な死とかもありえる?その報復?
友達じゃない → 六郎の裏切りがバレること?
殺人遊戯 → アルファベット、金魚のボール
遥かなる我が家 → ミコトたちが心寄せる場所…UDIラボの様に物理的なものじゃなくて精神的なもの?
敵の姿 → 真犯人は別にいる?
旅の終わり → UDIラボの崩壊?あんなに六郎を可愛がってた東海林が六郎の裏切りに泣いてる…つらい…

となります。
うーん、見ないと分からないことばっか。
ほとんど?マーク。

そして今日、第10話を見たらまぁスッキリ。

名前のない毒 → エチレングリコール
死にたがりの手紙 → 
糀谷父からの手紙
予定外の証人 → 高瀬の裁判
誰がために働く → 未来のため
死の報復 → 中堂が宍戸に / ミコトが高瀬に
友達じゃない → 六郎の裏切り
殺人遊戯 → アルファベット / 金魚のボール
遥かなる我が家 → UDIラボ / 三澄の家 / …墓?
敵の姿 → 不条理な死
旅の終わり → 糀谷夕希子の旅

こじ付け部分もあるけど、ほとんど最終回に出てきた。すごくない?

ダブルミーニングってこういうこと?
もはやダブル以上だし、倍じゃなくて二乗だよね。

どこまで考えて作品作ってるの、野木亜紀子氏。
怖い。好き。

ストーリー自体もとんでもなく面白かったけど、
石原さとみをはじめ役者陣も素晴らしかったけど、
米津玄師のLemonも心に沁みたけど、
こういう楽しみ方もできて、ちょうど良い言葉が見つからないくらい、最高のドラマだった。

感想は寝てから書こうかな。



ドラマ「アンナチュラル」は予想をはるかに超えてきた。次の最終回でサブタイトル全部回収する気か。




しばらく何も言えなかった。
何も感じず、画面を凝視してるだけだった。
それぐらい、衝撃だった。

しばらく、が過ぎたら、ただただ苦しくなった
アンナチュラル第9話。
とんでもなくアッと言う間の1時間だった。

そして、脚本の野木亜紀子氏に脱帽。
日本にこんな物語を書ける人がいるのか。
これが初のオリジナルですって?

よくよく思い返せば、彼女がこれまで手掛けてきた作品どれもがそのシーズン頭ひとつ抜けて面白かった。

逃げるは恥だが役に立つ』や『掟上今日子の備忘録』は新垣結衣目当てで。
空飛ぶ広報室』や『図書館戦争』は好きな小説の実写化だから。
俺物語!!』は鈴木亮平のもの凄い役作り目当てで。
重版出来!』はなんとなく。
今回は石原さとみ目当てで。
どれも実に浅はかな理由で見始めたドラマや映画だったが、内容の濃い作品ばかりで気づけばどっぷりと身を投げ入れ抜け出せなくなっていた。

わたしは基本的にどんなに好きな俳優が主役だろうが、浮ついた演技や無駄にクサイ演技は苦手だ。
こっちが恥ずかしくなるようなセリフや設定の矛盾点があまりにも多い作品はもっと苦手だ。
コメディなら問題ないけどリアルさを謳ってるとね。
興醒めしちゃうと、もう見れない。
だからどんなドラマも第1話は必ず見て、判断する。
次も見るのか、もう見ないのか。
たまに見切った作品が巷で大人気になって後悔することもあるけど。
肌に合う、合わないの問題かな。

上に挙げた作品も初回放送時に夢中になった気持ちのまま、いや熱量を増して最終回を迎えたものばかり。
空飛ぶ広報室なんて脚本家なんて知らずに正月休みに一気見したからね。びっくりだ。

今回はっきり分かった。
わたしは野木亜紀子氏が生み出す世界が好きだ。

野木亜紀子氏への愛の告白おわり。


さて、では、ざっくり今回の感想を。

まず冒頭あれ?と疑問に思った。
「これまでのあらすじ」みたいなのって、このドラマこれまであったっけ?このシーンの回想まで必要?

そんな疑問は終盤で気持ち悪いくらい見事に解けた。
嘘だろ、おい。
だから前回から含みもたせてたの?
まさかあの人が捜査線上に挙がるなんて。
とにかく気分が悪い。
最後は特に背筋が凍るくらいゾッとした。
なんでお前が?どうして。

ほんとに今回もまんまとミスリードに誘導される。
普通に北村有起哉さん演じるライターが主犯だと途中まで信じて疑わなかった。
いや、まだめちゃくちゃ胡散臭いからね。
影で操ってたくらい思ってるからね。
容疑者とは別に真犯人はいるって思ってるからね。
北村さんに悪役させたら天下一品。

そしてなんといっても井浦新さん演じる中堂が辛い。
執刀したくてもできない。
すぐには結果は出ない。
こっちまでもどかしさでどうにかなりそう。
8年もの長い年月、検察に疑われながら遺族に憎まれながらひとりで戦ってきた中堂。
恋人との出会いから辿るシーンは特に辛い。
米津玄師のLemonの使い所がもうダメ。
男女どちら目線でも受け取れる歌詞で、もうダメ。
中堂が声を押し殺して咽び泣くとこは、ほんとダメ。

頼むから父よ。
娘が大きな画面を食い入るように見つめて今にもポロポロいきそうになっている場面で
「この女優さん良かったね、生きてるシーンあって」
と言って水を差すどころかバケツひっくり返していかないでくれ。
父よ。

でもシリアスなシーンに急にシュールな小ネタとか笑える小ネタが入るのは好きだ。
今回だと東海林のアリについてのやり取りとか。
ご飯食べならが3人でふざける場面とか。
ミコトと東海林の女性ならではの会話とか、
東海林が六郎で遊ぶ姉弟感とか、
所長が東海林に振り回されてるとことか、
あの中堂が東海林に気圧されてるとことか…
東海林はわたしの癒し。こんな同僚欲しい。

どうでもいいけど、中堂と六郎が犯人の自宅で捜索するとこで、駆け付けた毛利さんがパトカーの扉閉める時の画がとてつもなくイケメンに見えたんだけど、これは恋かな?断じてときめくシーンではないのに。段々イケメンに見える毛利さん。恋か。

そんな浮ついた心を正すには十分過ぎるラスト。
やっと見つけた証拠は炎の中。
あの血はなに?
あの燃やされないままの帽子はなに?
あの儀式を模した祭壇はなに?
探せどもどこにも居ない。
嫌な予感。
ミコトの引き攣った表情と所長を呼ぶ声。
中堂の狂気と悲痛な叫び。
血眼で探していた人物は笑顔で、警察に保護を要求。
背筋が凍る。
なんで。
どうして。

言葉なんて出ない。
どんな感情も混乱で露わにできない。
直前まで送ってた画面から視線を外せられない。
そのぐらいの衝撃だった。

そして流れる最終回の予告。
こんな状態であの予告。
絶句。

一体誰がこんなの予想できたんだろう。
わたしはもちろんできなかった。

でもサブタイトルの詮索大好きマンのわたし。
また想像の域から出ないけど、ある説が急浮上。


アンナチュラル最終回、サブタイトル一気に回収説。


やっと全話出揃ったので、並べてみる。

名前のない毒
死にたがりの手紙
予定外の証人
誰がために働く
死の報復
友達じゃない
殺人遊戯

遥かなる我が家
敵の姿
旅の終わり

前にサブタイトルについて考察した時は、糀谷夕希子と六郎についてと述べた。


一応その続きを考察するなら、
糀谷夕希子にとっては
遥かなる我が家 → 中堂にとっての家
敵の姿 → やっと浮かび上がった容疑者
旅の終わり → 8年に渡った復讐の終焉

サブタイトルと相反した六郎にとっては
遥かなる我が家 → 帰る家を失う(出版社はおろかUDIラボまで居場所失いそう)
敵の姿 → 六郎こそが、ラボの存続を脅かす敵
旅の終わり → ラスト見るまでは何ともだけど、何か始まる?

そして本題。
最終回で全部一気に回収説。
予告から想像すると、もう怒涛の連続。

名前のない毒 → 人なのか、事象なのか…嘘の鑑定書で有罪でっちあげること?
死にたがりの手紙 → ピンクのカバの絵?絵本?週刊誌の記事?それこそ鑑定書?
予定外の証人 →  容疑者
高瀬の裁判
誰がために働く → 連続殺人の
罪で裁くため検証を続けること
死の報復 → 中堂が一線越えるのか、それとも別の誰か?社会的な死とかもありえる?その報復?
友達じゃない → 六郎の裏切りがバレること?
殺人遊戯 → アルファベット、金魚のボール
遥かなる我が家 → ミコトたちが心寄せる場所…UDIラボの様に物理的なものじゃなくて精神的なもの?
敵の姿 → 真犯人は別にいる?
旅の終わり → UDIラボの崩壊?あんなに六郎を可愛がってた東海林が六郎の裏切りに泣いてる…つらい…

うーん。
やっぱり最終回を見ないと分からないことだらけ。
でも何かある。
多分、今まで以上に度肝を抜かれることは絶対ある。

とんでもなく長いぞ、これから1週間。
とんでもないドラマだぞ、アンナチュラル。


第8話放送終了間際に投げられた「赤い金魚」という名の賽。
第9話は最後まで賽がのらりくらりと動き回り、犯人という目を見せないまま。
最終回のサブタイトルは「旅の終わり」。
なかなか目を出してはくれずにゆらゆら泳ぎ遊んでいた賽も、旅の終わりが来るんだろう。
中堂さんの苦しい旅も終わりますように。
六郎に救いがありますように。
東海林の涙が渇きますように。
所長の願いが届きますように。
ミコトが命の希望でありますように。
殺人遊戯はもう終わり。
みんなそれぞれのお家に帰ろう。

ドラマ「アンナチュラル」も、次で「旅の終わり」。
3ヶ月、早かったなぁ。
この1週間が途方もなく長いなぁ。
こんなにも心を奪われるなんて。

次の金曜日の夜は真っ直ぐ家に帰ろう。







「アンナチュラル」 サブタイトルに隠された伏線たち


見る度に心がエグられる。
未だかつて、こんなに残酷で美しく、リアルなドラマがあっただろうか。

TBS系 金曜ドラマ『アンナチュラル』がとんでもなく面白い。


ミステリー性 ヒューマン性が絡み合う絶妙な匙加減。
現代社会のリアルな問題を投影したストーリー。
二転三転する展開とそのテンポの良さ。
人間味溢れる人物たち。
無慈悲なほどに裏切ってくる予定調和。
絶望の暗闇の中に差し込む救いの光。
主演の石原さとみをはじめとした演技派の役者陣。


どこを切り取っても、一言では表現できないほどに魅力が詰まっている。

もう第7話まで放送されたが、どの回も何度も見返しては考えさせられる。

Twitterに投稿される考察と自分の考察を比較して、新たに気付く伏線や奥深さを感じることもまた、このドラマにハマる要因のひとつだ。

さて、いよいよストーリーも佳境に入ろうと言わんばかりになり、新たに気付いたことがある。

サブタイトルの伏線だ。

いやいや、そんなの初回放送から知ってるし。
脚本の野木亜紀子氏ご本人もダブルミーニングを意図している、ということを仰ってるし。

実際、サブタイトルに隠れたダブル以上のミーニングは毎話その放送回の中からしっかりと探し出せた。
そしてそれは事件そのものからと、ミコトたちメインキャストから、時に酷く対照的に描かれる。

たとえば、初回放送の「名前のない毒」。
不自然死を遂げた連続毒殺事件の謎の解明に、「名前のない毒」に何度も奔走するUDIラボチームと振り回されるわたしたち。
「三澄ミコト」は本当の名前ではないという不動の事実。
主人公はある種の毒。
「名前がない」ものは認められない社会。
「名前がない」から無作為に攻撃できる社会。
ミコトだから名誉回復を強く訴えるシーンが際立つ。
うん、面白いじゃないか。

毎話毎話、人間が誰しも持つであろう暗い部分が容赦なく描かれ絶望し、対照的なミコトたちに救われる。


でも今回私が言いたいことはこんなことじゃない。

もっと全体を俯瞰してサブタイトルを見ると、とんでもないことがふたつ、見えてくる。

そしてそれもまた、ひどく対照的だ。

まず一つ目。
このドラマのキーパーソンは誰か?
サブタイトルを初回から今回放送まで全て並べてみると、浮かびあがる事件がある。

名前のない毒
死にたがりの手紙
予定外の証人
誰がために働く
死の報復
友達じゃない
殺人遊戯

お分かりだろうか。
これから浮き彫りになるであろう、中堂系とその恋人「糀谷ユキコ」の事件だ。

名前のない毒  →  原因不明の死
死にたがりの手紙  →  連続殺人事件を示唆
予定外の証人  →  恋人の裁判とのリンク
誰がために働く  →  糀谷雪子事件の解明のために働く
死の報復  →  目には目を、を実行した青年への羨望
友達じゃない  →  同志としてミコトに協力要請(「同情なんていらない」と言う中堂に対し「同情なんてしない」とミコトが返したことから、同志と解釈)
殺人遊戯  →  赤い金魚

実はこれに気付いたのは私の姉だった。
あれは寝る間際にベットに伏せながらお互いの考察を言い合っていた時。ハッと急に興奮しながら早口で語る彼女の話に聞き入り、私も眠気なんて吹っ飛んだ。

ふと思ったけど、ラストシーンとサブタイトルって関連性あるんじゃないか?

第7話は「金魚みたい」で、第6話は「俺たち友達だよな」で終わり…しまった、その前が思い出せない。
誰か録画を消去したあんぽんたんの為に教えて…


そしてふたつ目の気づきに到達した。

他でもない、六郎の存在だ。

サブタイトルと彼に何の関連があるだろうか。
いや、確かにあるのだ。
時系列は若干ズレがあるけど。
しかもサブタイトルと意味合いは全て反対である。

名前のない毒  →  視聴者には全て明かされる裏の顔
死にたがりの手紙  →  最後まで生きようと足掻く
予定外の証人  →  出版社からのUDIラボネタの強要
誰がために働く  →  ミコトのために働くのか、スパイとして働くのかまだ決めかねる
死の報復  →  逮捕の瞬間の写真を撮り、欲しくもない報奨金を得る
友達じゃない  →  恋心を抱くミコトからはワンコ扱い、利用した記者からは利用される
殺人遊戯  →  一切スパイの顔を出さずUDIラボの一員として「仕事」をした唯一の回

中堂がようやくミコトと手を組み、目的は違えどそれぞれが同じ方向へ進む道筋が見えてきたが、それでもまだ彼の立ち位置のみ、あやふやなのだ。

こんなのただの憶測に過ぎないが、六郎がこれからミコトたちとどう関わりを持っていくのか、残りの数話で白になるも黒になるも十分考えられる。
そういう意味では、六郎こそが「名前のない毒」そのものなのかもしれない。


次回放送のサブタイトルは「遥かなる我が家」。

奇しくも六郎の父親が初お目見えし、彼の行く先はますます見通しが立たない。

「対照的」という言葉を頻発させて考察してきたが、本当にこのドラマは対比させる箇所が多くて、その意味を感じ取るたび鳥肌が立つ。
様々なポイントで対比されるからこそ、より鮮やかに表現され、印象に残り、胸に響くのだと思う。


残りの放送回もあと僅か。
冷酷無残の中でも最後まで希望が残りますように。

金曜ドラマ『アンナチュラル』から目が離せない。



もう「百花繚乱」は表舞台に躍り出ないのか






ジャニーズの百花繚乱の現状が本当の桜みたいで儚い切ないしんどいたまらんって話はもうしましたっけ?
してないですね?
この感情の持って行き場がないので今からしますね。




たまらんポイント①百花繚乱って誰の楽曲?

ジャニーズの百花繚乱といえば、ジャニーズワールドでHey!Say!JUMPが披露したのが印象的。

なんだけれども。

作詞 高瀬愛虹
作曲 洞澤徹、中西裕
音源化 未だなし
歌 ???

つまり、誰の楽曲でもない。

Hey!Say!JUMPの曲だと言う人もいるけど、そのJUMPでさえジャニワと少年倶楽部で2012〜2013年の一時期チラっと歌っただけで、以降Jr.にも歌われず今や完全に忘れ去られてる。


2007年から10年分の楽曲を引っ提げたJUMPのアルバム「 I/O 」にだって、ファン投票のディスクにその曲名は無かった。


TO THE TOP
トビラの向こう
心・技・体
太陽にLOVE MOTION!

とか他の未収録曲はアルバムにあったのに

百花繚乱

その一曲がなくて荒れた。
ほんと荒れた。
そもそも落選とかじゃなくて、出馬すら無かった。
公示日に候補曲見た時に愕然とした。
だってもちろんあると思うじゃない。
やっと音源化される時が来たなって。
でもなかった。
選択肢にないんだもん。
探せど探せどないんだもん。
いくら有権者でも候補にないものは無理よ。
権利を行使したくても、無理よ。
どうすればいいの?
J事務所とJ Stormに菓子折り持って挨拶回りして、
タスキ掛けて街頭演説すればいいの?
「どうか一票投じるチャンスを下さい!」って?
ほんと、私だけじゃない。
みんな荒れた。
Twitterも荒れた。
ランキングワードに百花繚乱って入るくらい荒れた。
すごくない?
みんな望んでたんだよ。
これだけの要望があるなら特別枠で収録される可能性も?と一縷の希望に託してたけど、それも無かった。

いやだからJUMPのモノではないのは分かってるけど、でも期待してたんだよ。
彼らが歌わないのに、誰が歌ってくれるの?
誰の百花繚乱なの?

気分はハイジよ。
教えて〜!おじいさ〜〜ん!!






たまらんポイント②詞の解釈

百花繚乱の何が良いって、歌詞が美しい。
というか、雅。麗しい。

以下、歌詞全文を活字で見て感じて頂きたい。


春うららかに舞う 桜の花びら
朧ろに揺れる月 儚く照らされる夢

いつか届くように・・・
幾度も咲き渡る
ひとつひとつ 込められた願い

陽炎 蜃気楼 差し伸ばす指先
季節めぐり やがて想いは爆ぜる

春うららかに舞う 桜の花びら
朧ろに揺れる月 儚く照らされる夢

尚も激しく舞う 乱れる花びら
果てない物語 切なさ掻き立てる唄

春うららかに舞う 桜の花びら
朧ろに揺れる月 儚く照らされる夢

春うららかに舞う 桜の花びら
朧ろに揺れる月 儚く照らされる夢

尚も激しく舞う 乱れる花びら
果てない物語 切なさ掻き立てる唄


使われている言葉の数でいえば正直少ない。
同じサビを何度も何度も繰り返し。
でも押し付けがましさとか嫌味がないの。
含みを持たせた表現と少し古典的で、詞から情景とか力強さとか…愛しさと切なさと心強さと、いつも感じている…じゃなくて、頭の中で思い浮かべられる。
それだけじゃなく、肌で体感できそうな世界観がこの僅かな言葉で表現できるなんて、奥ゆかしい。

日本語って綺麗だな、気品があるなとひれ伏したい。
さすが、和歌の国だな、と。
まぁこんな大層なこと言ってるけど、わたし和歌に関しては百人一首がせいぜいだし、この歌詞自体に31音のリズムはないんだけどね。

話変わるけど、今や大河で大活躍な女優の柴咲コウさんも昔はよく歌ってて、映画やドラマの主題歌が有名だけど、和歌とか大和言葉をよく楽曲に取り入れた隠れた名曲いっぱいあるから聞いて。
世界観がほんと好き。
是非、百花繚乱好きな方は彼女の曲を。
多分あなたも好き。
柴咲コウ販促強化週間おわり〜


歌詞を掘り下げる前に作詞家さんのことも少しだけ。
高瀬愛虹さんについて調べてみた。主にアニメ関係で活躍されてる方なのね。
まだ小学生の時に既に将来の夢を決めて、それを叶える為にひたすら邁進して夢を掴んだ方だそう。
そんな彼女が今でも大切にしている3つのモットーがあるらしい。

①聴く人をプラスの方向に導ける歌詞を書くこと。
②アーティストの魅力を引き出して輝かせる歌詞を書くこと。
③今までにないような斬新な歌詞で、歌詞の可能性を広げること。


作詞家を目指し始めた頃とずっと変わらない心掛けだそうで、彼女の初期の作品である百花繚乱(…ひょっとしたらメジャーどころに提供した初めての作品?)は如実にそれが現れてると思う。

例えば①に該当するところで挙げれば、
いつか届くように・・・
幾度も咲き渡る
ひとつひとつ 込められた願い
    とか。

②で言えば、割と大人数のアーティストが踊る演出で歌う程であると作詞段階で彼女が知っていたならば、
桜の花びら
乱れる花びら
は見事にはまっている。
実際、みんなして桜の木を模したダンスしてたし。

③は先にも触れたけど、全てに情緒溢れる感じ。
素敵な歌詞を提供して頂きありがたやありがたや。



よし、個人的な解釈を掘り下げてもいいかしら?
冒頭のサビから順番に考察していきますね。


春うららかに舞う 桜の花びら
朧ろに揺れる月 儚く照らされる夢

揺れる月 とか、照らされる夢 とかから読み取れるのは、日もすっかり暮れた様子。
春うららか からは、穏やか〜な印象と共にはらはら舞ってる桜が思い浮かべられる。
情景としては春の夜に満開を迎えた桜が少しずつ散っていて、お花見するなら最高な条件が整っている。
でも少し物悲しのは、僅かな期間しか咲き誇れない桜の諸行無常さからなのか。
それとも 朧ろに揺れる 、儚く照らされる そういう不確かなすぐ消えてしまいそうな脆さからなのか。
月とか夢とか、確かに存在するんだけど、日によって姿形を変えてしまうし、時には見えなくなってしまうし、不安定さが散りばめられてる。
そういったことも含めて歌い出しから美しい。


いつか届くように・・・
幾度も咲き渡る
ひとつひとつ 込められた願い

冒頭であれだけ不安だ〜何だ〜って言いましたもん。
願わずにはいられない。
幾度も咲き渡る ってことは、もう幾年も幾年もその桜に願っているのかな。切ない。
いつか届くように・・・
 今年こそはってもう何度思ったんだろう。切ない。


陽炎 蜃気楼 差し伸ばす指先
季節めぐり やがて想いは爆ぜる


【陽炎】
春の天気のよい穏やかな日に、地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象。強い日射で地面が熱せられて不規則な上昇気流を生じ、密度の異なる空気が入りまじるため、通過する光が不規則に屈折して起こる。
【蜃気楼】
気温の相違により、地上や海面上の大気の密度が一定ではないときに、光の異常な屈折が原因で、遠方の景色が見えたり、船が逆さまに見えたりするなど、物が実際とは異なって見えるような現象。

と、辞書から引用。説明にあるように、低い位置から熱が発せられて出る自然現象が立て続け。
でもその熱は自分から生じているのかな。
屈折して揺らめくのは夢か願い。
まだ遠いのに近くに見えるから指を伸ばす。切ない。
また何も掴めないで季節が巡って春が来た。切ない。
でもいよいよ、想いは爆ぜる 。


春うららかに舞う 桜の花びら
朧ろに揺れる月 儚く照らされる夢

尚も激しく舞う 乱れる花びら
果てない物語 切なさ掻き立てる唄


始めのサビ。
またあの憂いを帯びた歌詞。
だけど嵐の前の静けさ、じゃないけど、似たものは感じる。「静」と「動」の対比を生み出してる。
次のサビなんか正に「動」。
フツフツと溜め込んでいた感情が風を連れて来たのか、はらはらと散っていた花びらに勢いが加わる。
遂に想いが爆ぜて舞う、乱れる花びら 。切ない。
まだ叶わないのか、尚も激しく舞う 花びら。切ない。
果てない物語 はずっと追い続けてる夢なのか、願いが尽きることがない人生のことなのか。
切なさ掻き立てる
そのとおり過ぎてこのうえなく儚い切ない。

もどかしさとか歯がゆさとかもあり、でも諦めず何かを掴もうともがき足掻く弱さと強さがまるで鼓舞してくれるような感覚を覚える。桜を見るとセンチメンタルになるのと似ている。長い寒い冬を耐えて一瞬のためだけに命燃やして咲くんだよ。
目頭が熱いよ。強いお酒持ってきて。

単純な詞としての美しさだけじゃなく、含みを持たせる曖昧な言葉がそこらじゅうにあって、聴く人によってその「何か」をそれぞれ投影できるからこそ、さらに惹かれるのかもしれない。

咲き誇るのも美しい。
乱れ舞う姿も美しい。
散って枯れて行くのも、美しい。

桜も、人も
どの一瞬も強く、儚く、美しい。
愛おしい。






たまらんポイント③楽曲の演出

といっても、私はHey!Say!JUMPが披露したジャニワと少年倶楽部のしか知らない。
けど、そのたった数回が素晴らしかった。

まずジャニワ。
なんだよあれ。
ガラスの仮面紅天女かよ。(あれ梅の木の精だけど)
白スーツなのと紫と桃色の衣の組み合わせはちょっとダサい…いや、結構ダサい。もっと何かあったでしょ…?でもJUMPが妖艶だからオールオッケー!!
YOUたち桜の木の精になっちゃいなよ!
って衣はすぐ脱いじゃうけど、この時の色気ったら。
絶対山田くんとか当時10代じゃない。
伊野尾くんは黒髪色白で艶めかしさに拍車掛けてて頭抱える。
二人共どこの高級花魁だよ。
そんな中で知念くん見るとまぁ爽やかで安心する。
いやらしい目で彼らを見てた自分が恥ずかしくなる。
それくらい知念ちゃんまじ天使。
ああもう、みんなが大きなステージで各々ポジションを取ってるからどこに視線を送るか迷っちゃう。
みんな見たい。
キョロキョロしちゃう。
と思うやいなや有岡大貴ですよ。
やってくれましたよ、彼は。
ステージのど真ん中でキューブ状のリフトでフライングするからキョロキョロなんてもう出来ない。
彼から目が離せない。
え、なんですって?
ちょん、と乗るだけに飽き足らずぶら下がったわよ。
反り返ったわよ。
なんて子なの。
なんて度胸なの。
ダイキアリオカ…おそろしい子…!!

続いて少年倶楽部
こちらはみんなでピンクのスーツ!
うん、やっぱりダ…でもいい!桜色のスリーピース!
やっぱり出来る男はスリーピース!!
ふぅ。いやでもメンバーが散らばって定点で踊るのも良いけど、一箇所に集まって揃えた演出も良い。
縦横無尽に配列を次々変化させてメインステージを贅沢に使えるおJUMPちゃん達はパックなの?
夜の夢なの?
やっぱり妖精だったか。
チビちゃんだった。
もうみんな紅天女になっちまえよ。あれ梅だけど。
それにしても裕翔くんのセンターは圧巻。
長い手足をこれでもかと活かしてスマートに身のこなし決めちゃって心奪われるんだけど何なの。
モデルなの?モデルだった。
八乙女くんは基本がしっかりしてるから程よく力が抜けていて見ていて気持ちが良い。安心する。さすが。
一方ほんと目が離せない圭人くん。ハラハラする。
大丈夫ちゃんと踊れてるよ、自信持って!
んも〜良く出来ましたよしよしよしよし〜〜!
…わたし来世ムツゴロウさんになるわ。
でもさ度肝抜かれたよ、髙木さん。
なんだよあれ。
なんなんだよ。
大サビでなんてもの魅せてくれるのよ。
荒々しさの中にしなやかさも持ち合わせるなんて、一体あの収録で何人の女を骨抜きにしたの。
ピンクの衣装と相まってフェロモンダダ漏れだから。
もうさ、名前から彼はオスだから。
髙木雄也って、なんて名前よ。
軽率に産気付くわ。
もう、責任とりなさいよね!

この演出振り付け考えた大人も、軽々踊りこなせちゃうHey!Say!JUMPも何なの。
頭おかしいんじゃないの。(褒めてる)
このクオリティの楽曲を眠らせたままにしておくなんて、頭おかしいんじゃないの。(本音)


最後にね、この曲名を改めて辞書で引いてみたの。

百花繚乱
いろいろの花が咲き乱れること。転じて、秀でた人物が多く出て、すぐれた立派な業績が一時期にたくさん現れること。
「百花」は種々の多くの花、いろいろな花の意。「繚乱」は花などがたくさん咲き乱れている様子。いろいろな花が、はなやかに美しく咲き乱れること。

もう初お披露目からとっくに5年経ったよ。
メンバーひとりひとりも逞しく成長したよ。
グループとしても節目を迎えて、ひとり残らず名を上げて、今が花盛りとばかりに全員が咲き乱れてるよ。
だからこそまた見たいなぁ、今の彼らで。
まさに今、百花繚乱最中の彼らで。
やるなら今、じゃないの?

薮くんがJUMPaperでドームのセトリや構成について触れてたから、期待しちゃうじゃない。
マジかよ!って曲、用意してるんでしょう?
ノスタルジックな気分にしてくれるんでしょう?
期待しちゃうじゃないか。


もう一度、百花繚乱を目に焼き付けたい。
どれだけ願ったら、届くのかしら。
とっくに想いは爆ぜてるし、
切なさは甚だ掻き立てられてるよ。

桜は一瞬しか咲き誇れないからって、この曲もあの一瞬で朽ちてしまうのはあんまりだ。
このまま表舞台に現れず、語り草になってしまうのはあんまりだ。
でも桜は長く寒い冬を耐えて幾度も咲くんでしょ?
もう、この曲だって十分耐え忍んだよ。

でしょ?










「奥さん」って呼ばれたいんだ




結婚ラッシュってあるじゃないですか。

20代の半ばとか、30歳の手前とか。

いまね、私の身辺、怒涛のおめでたラッシュ。

” あのね、ちょっとご報告があるんだけど… ”


きたよ。きたきた。
もう〜、次は何を踊ればいいの!!



話は変わって、この度めでたく人妻になった友人から先日とんでもないことを聞いてしまった。

” 結婚する前と後じゃ、お淳太様の破壊力が全然違う ”

ほう。

よくよく話を聴くと、それがお昼のバラエティを指してるのは明らかなんだけど、いかんせん火曜日しか録画してないから木曜日の事情なんてサッパリ。

だから見兼ねた友人が動画を見せてくれた訳さ。
刮目したさ。

まじか。

…なんだろう。
すごくイケナイ気分。
合法エア不倫な気分。(どんな)

歯の浮く台詞。
美しいご尊顔。
ロイヤルな身のこなし。

なるほどね。
確かに。
これは、ヤバイ。

そんな肩書き持ち合わせない私でさえこのドキドキ。
これで私、その立場にでもなったら…
ドキドキなんてもんじゃない。
完全に骨抜かれる。
でろんでろんになる。
そして生活に支障が出る。
もはや違法なおクスリレベル。
欲しくて欲しくて堪らない。
毎週欠かさず接種しないと。
ハァハァ。
違う意味で動悸が止まらない。

大丈夫?
お昼にあんなの放送して大丈夫?
下手したら子供も見るよ?
旦那さんだって見るよ?
家庭崩壊しない?
放送倫理なんたら委員会に目ぇ付けられない?

てか奥さんになったらそんな美味しい目に遭うの?
なんだよそれ。

私だってイケメンに奥さんって言われたい。
ジャニーズに奥さんって言われたい。
でも今すぐ奥さんになんてなれない。
どうしたらいいの。
溢れる煩悩をどうすればいいの。

さっさと昇華させよう。






中丸雄一(KAT-TUN)
「俺の奥さん。」

…ってことは、彼とは婚姻関係ですね。
いいですか。
婚姻関係ですよ。

どうしよう。
夢にまで見た、中丸くんとの結婚。
あー、自然と口元が緩む。無理。
うへへ。

でも浮かれてないで。
あくまでも妄想だから。
現実じゃないからね。
もう一度言い聞かせて。

あくまでも妄想だから。
現実じゃないから。
冷静になって。
そう、いい感じ。
そしたら全身の力を抜いて。
静かに目を閉じてイメージして。

中丸くんのあの口から出る、「奥さん」




無理しんどい。

待って。
待って落ち着いて。
とりあえず深呼吸しよう。
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー
…って違うちがう。
ハイ息吸ってー、吐いてー。
もう一度ハイ息吸ってー、吐いてー。

落ち着けたのかないのかちょっと分かんないけど、気が動転してるからアルゴリズムで追っていこうね。

そうよ。婚姻関係にならなくちゃだから。
先ずプロポーズでしょ。
ケジメつけないと駄目でしょって。
彼きっとそういうのウルサイし。
昭和スピリットだから。
ほんと面倒くさい。
好き。


でもねあのね、聞いてくれる?プロポーズは何でもない日にお家で突然に、ってのが私の理想なんですけどね、休日にのんびり過ごしている時に、そうだな〜例えばお互いソファに身を預けている時に、

「あのさ、『結婚しよ』って言うから、『はい』って言って」

っていきなり要求するんですけど、もちろん急にそんな大事なこと言うから、え?なんて?ほんと?うそじゃないよね?てか今?え、なんで?今日なんの日だっけ?何かあったっけ?彼の誕生日はこの前お祝いしたし私の誕生日はまだ先だし、何かの記念日…記念日?何の?交際の?キス?何?え?そもそも記念日いつだっけ?…って高速で頭回転させるのか単純にフリーズするのかはこの際どうでもいいけど、ただひとつ分かるのは私は今とても無防備に、きっと間抜けな表情で彼をただ見つめているしかできないってことだけで、そんな私を見て少し口角を上げながらじゃあ、ってあの厚い唇で呟いて、静かな、でも時計の秒針と自分の鼓動がやたら大きく聞こえる空間ごと飲み込むように音を立てて息を吸いながら、伏せてた瞼を上げて私を見つめるから、私はそのやらたと熱っぽい視線から目を離せなくて、冷房で冷えた手はいつの間にか湿った体温で包まれてて、落ち着くと思ってた嗅ぎ慣れたこの彼の部屋が何故かこの時ばかりは全く知らない空気を醸し出して…確かに時は進んでいるのにそれを報せる刻音がもう聞こえなくて、まるで私たちだけ時が止まったかのように思えて、きっとこの一瞬の間に心の中で百面相してたんだけど、そんな胸の内なんか隠せてない私に言い聞かせるように優しくはっきりと「結婚してください」って言うから、過ぎ去ってた時間分を一気に飛び越えるような感覚になって、それと同時に一際大きく聞こえる刻音も触れ合う熱の力強さも大好きなこの匂いもはっきりと掴めて、映る世界はこんなにも鮮やかなことに驚いて、ひどく落ち着いてる自分と高揚してる自分が混在しているけど、目の前の彼の方が緊張と不安で強張る形相を悟らせまいと無理して作った笑顔でいるから…正直言って変な表情をしているから、そんなところも彼らしいなぁって凄くすごく愛おしさが溢れてきて、気付いたら彼を抱き締めてて、彼も安堵の溜息を漏らしそれに応えてくれるから、あぁ、私たちいま幸せのど真ん中なんだって実感が追い付いてきて涙止まらない。(ここまで一息)


なんて無駄に長い。
でも妄想だからいいの。
供養なの。

でもほら中丸くんはサプライズは絶対しないタイプだから、こういうプロポーズとかどうですかね?ね?


よし。しっかりプロポーズもして頂いたので、めでたく彼の戸籍に入ります。

でもその前に両親に挨拶だよね。
勝負スーツ着て、ガチガチに緊張してる中丸く…いや雄一さん。


最&高。


彼とは上京してから出会ったから両親に会うのはこれが初めてな癖に、自己紹介して直ぐに本題に入ろうとするから気の張りようもピークに達して噛み倒すし、トイレ近くなるからって水分控えてたから声も掠れるし、見兼ねてお母さんが勧めてくれたお茶は湯のみ持ち損ねてちょっと零すしで、プロポーズの時のあの格好良さはどこいった?って感じなんだけど、なんとかお決まりの台詞も決まり両親も快諾してくれたからホッとひと安心。翌週には私も彼のご家族にご挨拶と報告に伺って、その後の両家の顔合わせや指輪の購入、式の段取りなど一通り進めていく合い間を縫って、披露宴をする数日前に婚姻届を出しに行きたい。

記念日でも何でもない、穏やかで気持ちの良い柔らかな陽の差す大安(中丸くん絶対そういうの気にする)。こんな日はもっと気分が高揚してると昔は思ってた。でも実際は少しのソワソワと、それを俯瞰出来るほどの落ち着き。相反する感情が同居しているというその自覚で更に頭が冷静になる。だからわざと一文字ずつ意識して嚙み締めるように名前を書きたい。

二人で提出した帰り、受理あっという間でまだ実感ないね、帰ったらゲストカード作らなきゃだし、ねぇウェルカムボードの絵は順調?そうだ、お昼ご飯どうする?天気も良いし風も気持ちいいし、このまま散歩して早めのお昼食べれる所でも入る?とか適当に会話しながら区役所の階段を降りるんだけど、最後の方で踏み外して軽くコケそうになったら彼が、危なっかしいなぁ、ほら、なんて呆れながら指の長いキレイで大きな手で私の手を掴まえてまっすぐ見つめて言うの。

「今日から俺の奥さんなんだから」

しっかりしてよ。
ってぷりぷりして、奥さんだからねって、今度は優しく噛み締めるようにそう呟いて絡めた手を引く彼。
2度のその言葉の威力に、嬉しいような、恥ずかしいような、くすぐったいような。
そんな気持ちになって思わず力を強めると、フッと口角が上がってキュッと包み返してきてくれるから、私と彼の手を目一杯使っても抱えきれない幸福に、いまはただただ泣きたくなる。
ついさっき紙を一枚出す時にはなかった感情。
こうやって少しずつ実感してくのかな。
なんでもないようなことが幸せなんだと思うのかな。
これから始まる彼との人生、何があっても仲良く手を繋いで歩んで生きたい。


「俺の奥さん」なんて呼ばれてニヤニヤしてるのは絶対に見抜かれてて、事ある毎にキラーワードとして言ってきそう。始めは褒められても注意されても新鮮なその呼び方に浮かされてたけど、だんだんとその効力も薄れてってイラっと感じるのも、「私も勤めてるから家の奥にはいないんだけど、それなのに奥さん奥さんって何?」とマジレスしたくなるのも、それはそれでアリかな。(面倒なドM)

お父さん、お母さん。
今まで育ててくれてありがとう。
彼と一緒ならきっと何が起きても大丈夫。
わたし幸せになるね。






「仲が良いですね。奥さん。」

ご近所に住んでるナイスミドル。
どこかに落ちてませんか?
ゴミ捨て場に颯爽と現れるナイスミドル。
どこに落ちてますか?


雄一さんと見つけた新たな住まい。
玄関が広くて収納も充実した彼一押しの住処。
その近くで暮らしてたのが、坂本さんご夫妻。
愛妻家のご主人とは朝のゴミ出しのタイミングが一緒で、毎回挨拶と共に超絶爽やかな笑顔を振り撒いてくれるから、ほんと目の保養。花背負ってそう。

姉さん女房な奥さんとスーパーで会ったり回覧板を回しに行くうちに仲良くなって、旦那さま家事も手伝ってくれるしステキですねって言うと昔は結構やんちゃしてたとか今とは全然違ってたとか意外な情報ばっかり教えてくれるけど、いつ見ても幸せそうで、こんな理想の夫婦に私たちもなっていきたいなぁ、って坂本夫妻に憧れてたい。人生の良き先輩。

新婚生活にも慣れてきたある日、雄一さんと口ゲンカして意地の張り合いになってしまうも次の日雄一さんが珍しく出勤時にゴミ出しをしてくれてたことに気付いて、これで許してくれるって思ってるのかな〜と思いつつもちょっと柔らかい気持ちを取り戻せて今日は定時で帰社して彼の好きなを作ろうと気合いを入れて取り掛かり、そろそろ彼が帰宅するくらいの時間に湿った土の匂いが窓から入ってきて、あ、雄一さん傘持って行ってない、って傘立てを見て気付いて、まだしばらくは止まないからお迎えに行くと、最寄り駅で困った顔して携帯と空を交互に見てる彼がすぐ見つかるから、おかえりって言葉と共に傘を差し出して、ただいまって傘を受け取って、ここ最近のこと、ごめんねってお互いに謝って無事に仲直りして、ひとつの傘で一緒にお家まで帰ろう。

翌朝のゴミ出しで、昨日家に入るところを見ていた坂本さんに

「相合傘なんて、仲が良いですね。奥さん。」

って爽やかな笑顔で言われたい。
若いっていいなぁ、って冷やかされたい。
坂本さんなら多少おじさんクサイこと言われても…
いや、寧ろ言われたい。
ちょっとセクハラまがいな質問も許せちゃう。
人生経験豊富な坂本さんに、色々詮索されたい。
ついでに自分の惚気話も勝手にベラベラ喋ってくれ。
こっちが悶える程にキュンキュンさせてくれ。

いやぁ良いもの見たなぁ、新婚って感じで初々しいなぁ、いや僕なんて嫁は年上でしょ?手も繋ぐよ?大好きだしそりゃ繋ぐよ、繋ぐけどさ、傘は今はもうハードル高いよ〜、やっぱり勇気いるのよ〜、でもウチの嫁可愛いからさ〜、でも時々凄い怖いんだよね、だから僕は嫁第一なんだけどね、奥さんのところは…って、え?あの時喧嘩してたの?あ、なるほど昨日朝ここで会わなかったのはそういうことね、で?あの傘は仲直りからの〜なの?うっわ何それ眩しい、眩しいよ奥さん、あ〜僕も嫁と喧嘩して仲直りしたい。
ここまで見えた。

ご近所に住んでるナイスミドル。
どこに落ちてますか?






三宅健(V6)
「悪い子だね、奥さん。」

健ちゃんには、
良い子 よりも 悪い子 って言われたくない?
私は言われたい。

で、設定なんだけど会社の元上司とか良くない?
こらこら〜、なんて似合う〜。
今は部署が変わって直属の上司でも何でもないけど、未だに気に掛けてくれる、とか。
最高。
なんて面倒見の良いんだ。

三宅さんは今でこそ課長だけど、私が入社した当初はまだ係長で教育係。
そんなの大したことないって、が口癖って教育係としてはどうなんだ。
見た目は若いけど勤続年数はそこそこ。
いつもヘラヘラしてるし昇格試験も受けないし、出世願望ないのかな、なんて。
でもいつの間にかいきなり主席課長に抜擢されるから、え?知らない間に試験受けてたの?
前回の合格者一覧に目を通しても名前ないし…と不思議に思ってると目の前に三宅さんが。
もしかして、良からぬ手でも使った?
なんてあらぬ読みをしていたら後ろから頭コツン。
こらこら、悪い顔してるな〜何考えてるの。君が入社するうんと前に試験合格してんの。
って、完全に読まれてて。
ああ、なるほど。
一番美味しいタイミングまで待って出世か。
と、可愛い顔して計算高い彼は華やかに栄転して。

たまに社内で会った時はよくコーヒーを奢ってくれる仲だから、結婚の報告もしっかりした。
三宅課長、お先にすみません。なんて。
うるさい、お幸せに、って返してくれた。
だからあんなことになるなんて思いもしなかった。

ある日雄一さんとまた喧嘩して、今回は結構深刻で、最悪なことに仲直りする前に彼は海外出張に行ってしまい連絡も取れず…今まで喧嘩は数あれど、ここまで大きなのはなかったから社内の休憩スペースで考え込んでいたら、コーヒーの香りが近くにやってきて、顔を見ないでも分かるその相手は、悩みごと聴いてあげるから今晩定時で上がれるよう仕事頑張って、と苦い香りを残して去っていくから、どうせ帰ってもひとりだし、一緒に食事なんて送別会以来だし、と結局定時で業務をしっかり終えてタイムカードを切りエントランスを抜けると、もう待っててくれる優しい元上司は、適当に入った居酒屋で何を聴くでもなく他愛もない話ばかりで、なんだ、もっと詮索されるのかと構えてたから少し気が緩んで、でもお互いお酒が進んだところで、旦那さんと喧嘩でもした?って急に核心突いてくるから動揺して、誤魔化してもバレバレで、愚痴なら聴くよと促されるまま、大したことないってと相変わらず言ってくれる彼に甘えてしまって、少しずつ溜め込んでた雄一さんへの不満が口を衝いて止まらなくて、ひたすら話を聴いてくれる彼に完全に気を許し…気が付いたら知らない部屋で寝ていて、それは他でもない三宅課長の部屋で、何が起きたのか察したくなくて、理解も全然出来ていなく、隣で寝ている彼がつられて目を覚まして、目を擦りながら、まだ4時じゃん、ああ、昨日は楽しかったね、と笑うから、背筋に冷たい電流が走るけど何も思い出せなくて、いつもの口癖を言ってよ、と声にならない声で必死に懇願するも虚しく、いたずらっ子の様に笑って言うの。

「新婚なのに男の家に泊まるなんて悪い子だね。
   ね、奥さん。」







櫻井翔(嵐)
「奥さんなんだから。」

おは…どうした、顔色悪いし、昨日は定時で帰ってたけど、風邪か?
なんて心配してくれる上司。
櫻井課長。
もとい、櫻井先輩。
雄一さんが学生時代に他大学との交流戦で意気投合して以来いまでも親しくしている先輩で、私もつられて先輩なんて呼んでいた。
私の上司になった頃には先輩呼びが染み付いて、職場で課長と呼ぶのは気恥ずかしかったのも、懐かしい。

風邪じゃないんです、だから大丈夫です、となるべく元気を装って笑う。
すると課長は、そうか、とだけ言ってデスクに戻る。

ほぅ、と安堵かよく分からない溜息を漏らした。
彼の大切な先輩に言うべきではない。
でも今朝のことを考えると足元から何かが崩れていくようで、真っ直ぐ立てている感覚が無い。
だって信じられるものが今は何もない。
三宅さんも、自分も。

化粧落としてパックまでしてあげたんだから感謝しなさいよ、なんて言われたのは、ほんの数時間前。
女の子はどんなに眠くても時間がなくてもメイクオフと保湿だけは欠かせたらダメだよ、毎日湯船にも浸かって欲しいけどさ、と女性顔負けの美容のいろはを教授された。
でも待って、それ今この状況でする話?
だって私は違和感しか感じてない。
良い年した男女が同じベッドに寝ている。
一見不自然なところはなにも無い。
が、女には配偶者がいる。
しかも、新婚。

バクバク、と速く鳴る鼓動の音が聞こえる。
血が逆流している様な感覚がする。
息が吸えない。
明らかに何かあったであろう状況の把握をするのに精一杯な私に、一仕事終えスッキリした表情の彼は、
人のモノに手を出す趣味は無いから、安心して。
そう言い放ち、帰るならオートだから鍵とか気にしないでどうぞ、とだけ伝えてまた眠ってしまった。
ようやく、自分の体に視線を落とす。
服、着てる。

三宅さんの言葉をまるっと信じてしまっていいのか。
何かがあったなかったとかじゃなく、そもそも元上司とは云え新婚の身分で男性と2人で意識を失うまでお酒を飲んでしまったことが問題であって。
雄一さんと仲直り出来てないのに、こんな誤解される状況を作ってしまった自分は最低だ…

バタバタと慌ただしくあの部屋を後にし、本来居るべき自宅に戻って出社する間ずっと思考が停止したままだったから、今はそんなことばかりが頭を占める。
今は仕事中なんだから、考えない。
考えないの。
ああもう、ミーティング室に呼ばれた。
櫻井課長だ。

どうした、今日はずっと心此処に非ずじゃないか。
怒るでもなく、優しく問いかける彼から差し出されたコーヒーは、いつもと違いキャラメル入りで甘いはずなのに、香りは驚くほど苦い。

無駄な時間を嫌う課長は、無理に訊き出すこともせず、それ飲んだら倉庫行ってこれ整理してこいとチェックリストを渡してさっさと出て行ってしまった。
倉庫なら誰も居ない。
それにこんなに沢山のリスト、数時間はかかる。
スマートで優しい、けれど私情を業務に持ち込まないよう促す気遣いができる課長は、いつも正しい。

倉庫に缶詰めになって片付けをこなす毎に頭の中も整理出来て、気分もやっと落ち着いてきて、ひとつの決心をした所に櫻井課長がやってきて、私の顔を覗き込み、大丈夫そう?と確認してから、で、何があった?と静かに問いかける彼はやっぱり頭がキレるだけあって、何も言ってないのに全て見透かされているようで、今さっき全部誰にも秘密にするって決めたのに、そんな決意は呆気なく砕かれて、彼と大喧嘩したこと、仲直り出来ないまま海外出張に行ってしまったこと、三宅さんとの昨夜のこと…全て零してしまった。

成る程ね、三宅さんもそう言ってる通り、ただ泥酔した元部下を泊めただけだと思うし、かといって周りに変に吹聴することもしない人だから、もう何もなかったって思って良いんじゃない?アイツには秘密にするのが最善の策かな、知ったら絶対落ち込むし、帰国する明日までに切り替え出来るよね?と呟く先輩。
怒るでもなく、呆れるでもなく。
ただ、静かに諭すように、

「もう雄一の奥さんなんだから。」

そう優しく叱ってくれる先輩は、いつも正しい。







薮宏太(Hey!Say!JUMP)
「ちゃんとやれてるの?奥さん。」
「奥さん?いつの間に?」

先輩が倉庫から先に出て行く時に言ってた言葉。
俺も誰にも言わないから、あいつが帰ってきたらちゃんと仲直り出来るよう振る舞えよ。

分かってはいるけど、彼に一生秘密を抱えて行く覚悟なんてまだ出来ずに残りを片付ける。
夕方デスクに戻ると、スマホに何件か通知が。
雄一さんから?と思い、思わずアプリを押すと、差し出し人は大学時代の同期、薮ちゃん。
玉森くんが出張でこっちに戻ってきてるから、ゼミ仲間を急遽今夜招集とのこと。

久しぶりで会いたい気持ちはあれど、今お酒が絡む席や楽しい場に足を運ぶのはだめだ。
あとで断りを入れよう、とそのまま閉じた。

滞っていた事務処理を淡々とこなし、一息ついてふと時計を見ると19時をとっくに過ぎていた。
やばい、消灯まであと少し。
急いでパソコンを閉じ、帰り道に値引きされたお惣菜とスパークリングワインとフルーツを購入して灯りの点いていない住まいに帰った。

20時を半分過ぎたころ、着信が。
薮ちゃん。

開口一番なんでこないんだよ〜、連絡くらい入れろよ〜と管を巻いている。
相当酔っている。
ごめん、忘れてたと謝りを入れたがまだグチグチ言っている。
男も女も所帯を持つと付き合い悪いよな、なぁ、なんて恐らく近くにいる人に問いかけている。
すみません、薮くん相当酔ってるみたいで、と他人行儀なセリフを言う懐かしい声に変わった。
玉森くん。

お久しぶりです、と挨拶すると、ん?と変な声。
何だよお前かよ、誰に掛けてるか全然分からなかったから敬語で構えちゃったよ、と急に早口になった。
いや、でもゼミ時代私たちそんな接点なかったから、むしろずっと敬語で会話してたけど、と笑うと、そうだったっけってトボけて彼も笑った。

通話口の奥から、あ〜何俺の電話でいちゃいちゃしてるの!と酔っぱらいの声が聞こえて、恐らく奪い取ったのだろう、あっ、と先程まで近くで聞こえていた声が少し遠くで聞こえ、再度また始めに電話を寄越した張本人の声が近くにきて、ねぇねぇ、と注意を引こうとする彼の顔は、きっとただでさえ笑うと細くなる目を更に伸ばしてニヤニヤしてるんだろうってことが容易に想像できるほどの声色で、そんなイメージをこちらがしているのも彼は知る由もなく、口を開く。

「ちゃんとやれてるの?奥さん。」

「え?奥さん?誰が?いつの間に?」

私に答える隙も与えず、それどころか完全に会話に置き去りにされたまま、ふたりの掛け合いを聞く。
知らなかったの?知らないって、いつ?まだ1年経ってないくらいだけど皆でお祝いしたじゃん、俺それ知らないんだけど、そりゃ都内にいないお前が悪い、仕事だから仕方ないじゃん、で?ちゃんと主婦出来てるの?と急に振られたから、うんまぁ、と当たり障りのない返事しか咄嗟に出来ず、うわ惚気られたー!と絶叫する薮ちゃんを他所に玉森くんは、大好き大好き言ってたあの人と結婚できたんでしょ?何があってもずっと手を繋いでいられるおじいちゃんおばあちゃんになりたいって言ってたもんね、幸せなんだね、良かったじゃん、とここ最近のゴタゴタを何も知らない筈なのに傷ついた心に言い聞かせるように優しく言うから、夕方には出来ずにいたある覚悟が何故か今決めることが出来て、うん私は幸せだしこれからもっと彼を幸せにするの、と宣言していた。

ははは、玉森くんと笑う。
改めておめでとう、末永くお幸せに、またねと彼が電話を切る。
そうだ、何があっても乗り越えて幸せになろうって雄一さんと誓い合ったじゃないか。
明日、彼がこの家に帰ってくる。
喧嘩したまま、行ってらっしゃいも笑顔で出来ずに送りだしてしまったんだ。
優しい彼はどんな気持ちで出て行ったんだろう。
何もなかったとはいえ秘密を抱えてしまったんだ。
大したことないと言う人もいるかもしれない。
そんな秘密は早く話した方が良いかもしれない。
でも楽になるのは自分だけで、優しい彼は傷つく。
ちゃんと奥さんをやるんだ。
今度薮ちゃんに聞かれたらハッキリ肯定するんだ。

今日は金曜日、明日はお休み。
今から部屋を隅々まで掃除しよう。
玄関は特にキレイにしよう。
少し寝て起きたら、空港まで彼を迎えに行こう。

おかえりなさいと笑顔で言うんだ。
きちんと仲直りするんだ。
弾けるワインと甘いフルーツを仲良く味わおう。
ずっとふたりで手を繋いで歩いていけるように。


私は、雄一さんの奥さんなんだから。





いやもう妄想が過ぎる。
ひどい。
けど悔いはない。
でもひどい、ほんとジャニーズに失礼。
なに途中ドロドロ小説紛いなことやってるの。
着地点が見えない。
たすけて。

そもそも恋人は中丸くんじゃないし、
花背負ってるご近所さんもいないし、
職場にあんなイケメン上司何人もいないし、
大学の同期にすらあんなイケメン居なかったし。
テレビの前でキャーキャーするのが私にはお似合い。

「奥さん、あなたの中間淳太ですよ。」

早くその破壊力味わいたい。
はやく奥さんになりたい。
来年には結婚しよう。




ここがしんどいよ -Love-tune CALL編-




Hey!Say!JUMPのRide With Meがとってもエモーショナルだって話はもうしましたっけ?
しましたね。


じゃあLove-tuneのCALLがとってもエモーショナルだって話はもうしましたっけ?
してないですね?
なので今からしますね。
というか、こっちが本命ですね!
とっとと行こう。






たまらんポイント①詞の解釈

歌詞の考察についてはとっても分かり易く、かつ彼らの背景とか諸々含めたすんばらしい分析と解説を他の方々が過去にして下さってるから割愛。


…と言いたいところなんだけれども。
ちょっと考察は少し後で。


初見した時はJr.のことなんかほとんど知らないような状態の頃で、ただただ彼らのパフォーマンス力の高さと勢いに圧倒されてた。


Jr.ってこんなにクオリティも技術もレベル高いの?最近腑抜け続きのデビュー組(どことは言わない)よりプロ意識高いじゃん!と慄いた。


でも歌詞を良く噛み砕いて見ると、こんな詞をデビュー前の彼らに歌わせるってキッツ!!って感想が先ず始めに出てきた。


そもそも今後Jr.がデビューする可能性は低いってニュアンスの事をジャニーさんが言ってた記事を読んだことがあるんだけど、もしもそれが本当ならあの歌詞はあまりにも酷だと思ってしまうのは私だけ?


例えば最初の掛け合いの歌詞。

I'd like to make it
結果でしょ?どうせ
空回るほど 何で?lose control
いつだってmake it better!!
そんなんで平気? 
shut up!!

いま自分たちが置かれている状況に対する焦燥感とか切迫感とかが凄く表現されているのがもう。
自問自答なのか言い合いなのか、必死にもがいてる様子が生々しい。


I don't wanna I don't wanna I don't wanna fuss
この目で全てを確かめたい

ここから少しずつ冷静に捉えて素直な感情を表に出してるのかな。
I don't wanna fuss  をそのままなら、"こんな些細な事で騒ぎ立てたくない"って訳せるけど、I don't wanna が続けて並んでるって相当だよね。建前で格好つけてるけど、本音は本気で嫌だ嫌だヤダ!!ってゴネてる様にも解釈できる。全然些細なことじゃないもんね。


Yes, I hate it and I'm scared
流れゆく時の中  埋もれてく様な My life

その通りだって認めたのは、嫌悪と恐怖かな。それもかなり強い。それが示すものは自分の人生そのもの?というよりかは、ここではJr.としての日々なのか。


まるでホラー(Hey!!)
like a walking dead(Hey!!)
Get up(Hey!!) Stand up(Hey!!)
生きるのさ(Hey!!)

ここまで意訳してきたけど、そんな日々(人生?)はそりゃホラーだよね。生殺し。歩く死人のようだって…よく例えたもんだ。気軽にヘイ!とか言えない(言ってた)。
でもここからだよね。起きろ!立て!生きろ!!って奮起するの。疾走感のあるサビに繋がってくの。もうありったけの力込めてヘイ!て言っていいかな。


限りあるこのSOUL乗せて 走れ 急げ
Let's party together now
抱えた Broken heart
一つになれば ほら Path to glory
Don't stop Don't stop
I hear the future call

限りあるって…恐らくだけど、デビューするまでへのリミットなのかな。年齢的なものか、熱意的なものか。彼ら自身が決めるのか、事務所の人間が決めるのか分かりっこない命って、ねぇ。だからまた焦燥感がやってきた。
でもこれまでと違うのは、同じ方向を向く仲間の存在が確かにあるってことだよね。
挫折とか悔しさとかは、皆が抱えているものだから、一緒に集まって補完し合おう、一つになって ” 栄光 ≒ デビュー? ” への道を拓こう。進め!止まるな!未来が待ってる声が聞こえるぞ!(超意訳)


Moving on & Moving on
アドレナリン Give me
進め 衝動が枯れる前に
I wanna get glory
そうさ like a ロシアンルーレット
託すようなもんさ 回せリボルバー

もう渇望しまくってるよね。
デビューしたいって言ってるもんね。(超意訳)
でもそれは運命に託すしかないって、よくこんな物騒なモノに例えたな。(褒めてる)
でもただ託すんじゃなくて、ちゃんと足掻いてるからね。回せ!って。形振り構わない感じが詞のスピード感を上げてる。


I believe it and I can do it
誰かと同じスピードじゃ
追いつけそうもない My dream

同じメロディーの所と対比させるなら、さっきの安井くんのパートは絶望って印象を与えるのに対し、萩ちゃんのこのパートは大丈夫!できる!って真逆に変わったんだよね。ゆっくり下降していく情景も、上へ上へと速度を増していく表現に180度変わって。


まるでそうさ(Hey!!)
like a time attak(Hey!!)
Ready(Hey!!) Get set(Hey!!)
突き抜けろ(Hey!)

time attak って何だろうって思ったら、比較的短距離の規定されたコースの周回タイムを競う行為のことを指すのね。
じゃあこれまでの解釈を踏まえると個人というよりかは他のJr.との競争と捉えていいのかな。直前の「誰か」も、グループ単位だとすれば腑に落ちる。
何となく、デビューできるかどうかは生き残り…イス取りゲームの様なのかなって勝手に思ってたんだけど、スピード勝負なのであれば納得。
準備できた?突き抜けろ!ってトップスピードに乗ったままサビに行くんだよ。やばくない?


限りあるこのSOUL乗せて 走れ 急げ
We can do it Let's get down
俺たちの明日を掴め 叫べ 歌え
Let's party together now
抱えた Broken heart
一つになれば ほら Path to glory
Don't stop Don't stop
I hear the future call
3 2 1 Let's go!!

1回目のサビと違うのが、
We can do it Let's get down
俺たちの明日を掴め 叫べ 歌え って部分なんだけど、
ようやく「俺ら」って複数人称が出でくるんだよね。
仲間がいるっぽいのは分かってたけど、最後の最後でハッキリ出してきたし、このメンバーで始めるぞ!行くぞ!っていう覚悟みたいな。しかも続く詞が胸にグッとくる。同じ詞でもヒートアップするよね。


Show me what you got Just do it!!
Bring it Now!!

コレ曲の冒頭にも繰り返し叫んでるんだよね。
見せてやるよ!やるしかないだろ!かかってこい!って。
出だしは威勢張ってる風にも取れるけど、最後の畳かけるところなんかは意味合いは全然違うし、寧ろ聞いてて爽快。ステージの一体感が最高に奮える。


サビの話に戻るけど、
I hear the future call の部分。
この呼んでるのはファンの声なのかな〜って思ったけど、未来ってとこが引っかかってだね。ひょっとしたら未来の彼ら?栄光を掴んだ彼らからの声?
だとすると、もしも今後Love-tuneがデビュー出来たとして、CALLを披露してくれた日にはエモーショナル過ぎて泣く自信しかない。

先に考察したJUMPのRWMもなんだけど、時を経てさらに味わい深くなる楽曲って素敵すぎる。
RWMのリリース当時は彼らのありのまま剥き出しの曲だって思ったけど、2016ver.としてお披露目された時もまさに今!等身大!って大興奮した。
CALLの歌詞に出でくる " glory " は今の彼らにとってのデビューに当たると思って解釈したけど、時が経てば新たな解釈が出来ると思うと…お願いだから、その時まで誰も欠けないで欲しい。






たまらんポイント②演出・演奏

Love-tuneの持ち味はやっぱりバンドもダンスもできる所なんだよね。
普通さ、バンドならバンド、ダンスならダンスって曲毎で専念するじゃない。
普通は。


でも!
そこは!
ポテンシャル高いLove-tuneさんですから!
やっちゃうの!
どっちも!!
武器が多いらぶさんカッコいい!!!


今までそんなグループありました!!?


バンドで始まったと思いきや中盤で全員のダンスパフォーマンスからのまたバンドですよ。
魅せ場だらけで本当ありがとうございます。


ステージ上の配置もね、まずドラムが中央にドーンと鎮座してるのが良い。しかも高台の上ですって。只でさえ、ドラムってステージから客席まで全部見渡せるのに加えてその位置が高いんですよ?そこに君臨するのが我らが萩谷慧悟ですって?
もう〜!みんな好きなやつ〜!!


ギターとベースはもとから可動域に制限がほぼ無いとして、キーボードの長妻くんがショルキーを手に入れたことによって6人が自由自在に動き回れるって?
ちょっと〜!プロ意識高すぎる〜!!


え!?
不動だと思ってたドラムも移動するの!!?


お披露目毎にパフォーマンスのクオリティー高めてくなんて、なんて子達なの!!!


特にね、2回目のサビからの演出が私もめちゃくちゃに好きなんですけど、もう目が離せない。
中心のドラムから客席に向かって一斉に散ったと思ったら左右にくるくる移動して最後にまたドラムを囲ってフィナーレって魅せるね〜〜!!






ほんと、こんなに感動を与えてくれる彼らが、早く栄光を掴めることを望まずにはいられない。


応援したいアイドルがいるって最高だね!