ドラマ「アンナチュラル」は予想をはるかに超えてきた。次の最終回でサブタイトル全部回収する気か。




しばらく何も言えなかった。
何も感じず、画面を凝視してるだけだった。
それぐらい、衝撃だった。

しばらく、が過ぎたら、ただただ苦しくなった
アンナチュラル第9話。
とんでもなくアッと言う間の1時間だった。

そして、脚本の野木亜紀子氏に脱帽。
日本にこんな物語を書ける人がいるのか。
これが初のオリジナルですって?

よくよく思い返せば、彼女がこれまで手掛けてきた作品どれもがそのシーズン頭ひとつ抜けて面白かった。

逃げるは恥だが役に立つ』や『掟上今日子の備忘録』は新垣結衣目当てで。
空飛ぶ広報室』や『図書館戦争』は好きな小説の実写化だから。
俺物語!!』は鈴木亮平のもの凄い役作り目当てで。
重版出来!』はなんとなく。
今回は石原さとみ目当てで。
どれも実に浅はかな理由で見始めたドラマや映画だったが、内容の濃い作品ばかりで気づけばどっぷりと身を投げ入れ抜け出せなくなっていた。

わたしは基本的にどんなに好きな俳優が主役だろうが、浮ついた演技や無駄にクサイ演技は苦手だ。
こっちが恥ずかしくなるようなセリフや設定の矛盾点があまりにも多い作品はもっと苦手だ。
コメディなら問題ないけどリアルさを謳ってるとね。
興醒めしちゃうと、もう見れない。
だからどんなドラマも第1話は必ず見て、判断する。
次も見るのか、もう見ないのか。
たまに見切った作品が巷で大人気になって後悔することもあるけど。
肌に合う、合わないの問題かな。

上に挙げた作品も初回放送時に夢中になった気持ちのまま、いや熱量を増して最終回を迎えたものばかり。
空飛ぶ広報室なんて脚本家なんて知らずに正月休みに一気見したからね。びっくりだ。

今回はっきり分かった。
わたしは野木亜紀子氏が生み出す世界が好きだ。

野木亜紀子氏への愛の告白おわり。


さて、では、ざっくり今回の感想を。

まず冒頭あれ?と疑問に思った。
「これまでのあらすじ」みたいなのって、このドラマこれまであったっけ?このシーンの回想まで必要?

そんな疑問は終盤で気持ち悪いくらい見事に解けた。
嘘だろ、おい。
だから前回から含みもたせてたの?
まさかあの人が捜査線上に挙がるなんて。
とにかく気分が悪い。
最後は特に背筋が凍るくらいゾッとした。
なんでお前が?どうして。

ほんとに今回もまんまとミスリードに誘導される。
普通に北村有起哉さん演じるライターが主犯だと途中まで信じて疑わなかった。
いや、まだめちゃくちゃ胡散臭いからね。
影で操ってたくらい思ってるからね。
容疑者とは別に真犯人はいるって思ってるからね。
北村さんに悪役させたら天下一品。

そしてなんといっても井浦新さん演じる中堂が辛い。
執刀したくてもできない。
すぐには結果は出ない。
こっちまでもどかしさでどうにかなりそう。
8年もの長い年月、検察に疑われながら遺族に憎まれながらひとりで戦ってきた中堂。
恋人との出会いから辿るシーンは特に辛い。
米津玄師のLemonの使い所がもうダメ。
男女どちら目線でも受け取れる歌詞で、もうダメ。
中堂が声を押し殺して咽び泣くとこは、ほんとダメ。

頼むから父よ。
娘が大きな画面を食い入るように見つめて今にもポロポロいきそうになっている場面で
「この女優さん良かったね、生きてるシーンあって」
と言って水を差すどころかバケツひっくり返していかないでくれ。
父よ。

でもシリアスなシーンに急にシュールな小ネタとか笑える小ネタが入るのは好きだ。
今回だと東海林のアリについてのやり取りとか。
ご飯食べならが3人でふざける場面とか。
ミコトと東海林の女性ならではの会話とか、
東海林が六郎で遊ぶ姉弟感とか、
所長が東海林に振り回されてるとことか、
あの中堂が東海林に気圧されてるとことか…
東海林はわたしの癒し。こんな同僚欲しい。

どうでもいいけど、中堂と六郎が犯人の自宅で捜索するとこで、駆け付けた毛利さんがパトカーの扉閉める時の画がとてつもなくイケメンに見えたんだけど、これは恋かな?断じてときめくシーンではないのに。段々イケメンに見える毛利さん。恋か。

そんな浮ついた心を正すには十分過ぎるラスト。
やっと見つけた証拠は炎の中。
あの血はなに?
あの燃やされないままの帽子はなに?
あの儀式を模した祭壇はなに?
探せどもどこにも居ない。
嫌な予感。
ミコトの引き攣った表情と所長を呼ぶ声。
中堂の狂気と悲痛な叫び。
血眼で探していた人物は笑顔で、警察に保護を要求。
背筋が凍る。
なんで。
どうして。

言葉なんて出ない。
どんな感情も混乱で露わにできない。
直前まで送ってた画面から視線を外せられない。
そのぐらいの衝撃だった。

そして流れる最終回の予告。
こんな状態であの予告。
絶句。

一体誰がこんなの予想できたんだろう。
わたしはもちろんできなかった。

でもサブタイトルの詮索大好きマンのわたし。
また想像の域から出ないけど、ある説が急浮上。


アンナチュラル最終回、サブタイトル一気に回収説。


やっと全話出揃ったので、並べてみる。

名前のない毒
死にたがりの手紙
予定外の証人
誰がために働く
死の報復
友達じゃない
殺人遊戯

遥かなる我が家
敵の姿
旅の終わり

前にサブタイトルについて考察した時は、糀谷夕希子と六郎についてと述べた。


一応その続きを考察するなら、
糀谷夕希子にとっては
遥かなる我が家 → 中堂にとっての家
敵の姿 → やっと浮かび上がった容疑者
旅の終わり → 8年に渡った復讐の終焉

サブタイトルと相反した六郎にとっては
遥かなる我が家 → 帰る家を失う(出版社はおろかUDIラボまで居場所失いそう)
敵の姿 → 六郎こそが、ラボの存続を脅かす敵
旅の終わり → ラスト見るまでは何ともだけど、何か始まる?

そして本題。
最終回で全部一気に回収説。
予告から想像すると、もう怒涛の連続。

名前のない毒 → 人なのか、事象なのか…嘘の鑑定書で有罪でっちあげること?
死にたがりの手紙 → ピンクのカバの絵?絵本?週刊誌の記事?それこそ鑑定書?
予定外の証人 →  容疑者
高瀬の裁判
誰がために働く → 連続殺人の
罪で裁くため検証を続けること
死の報復 → 中堂が一線越えるのか、それとも別の誰か?社会的な死とかもありえる?その報復?
友達じゃない → 六郎の裏切りがバレること?
殺人遊戯 → アルファベット、金魚のボール
遥かなる我が家 → ミコトたちが心寄せる場所…UDIラボの様に物理的なものじゃなくて精神的なもの?
敵の姿 → 真犯人は別にいる?
旅の終わり → UDIラボの崩壊?あんなに六郎を可愛がってた東海林が六郎の裏切りに泣いてる…つらい…

うーん。
やっぱり最終回を見ないと分からないことだらけ。
でも何かある。
多分、今まで以上に度肝を抜かれることは絶対ある。

とんでもなく長いぞ、これから1週間。
とんでもないドラマだぞ、アンナチュラル。


第8話放送終了間際に投げられた「赤い金魚」という名の賽。
第9話は最後まで賽がのらりくらりと動き回り、犯人という目を見せないまま。
最終回のサブタイトルは「旅の終わり」。
なかなか目を出してはくれずにゆらゆら泳ぎ遊んでいた賽も、旅の終わりが来るんだろう。
中堂さんの苦しい旅も終わりますように。
六郎に救いがありますように。
東海林の涙が渇きますように。
所長の願いが届きますように。
ミコトが命の希望でありますように。
殺人遊戯はもう終わり。
みんなそれぞれのお家に帰ろう。

ドラマ「アンナチュラル」も、次で「旅の終わり」。
3ヶ月、早かったなぁ。
この1週間が途方もなく長いなぁ。
こんなにも心を奪われるなんて。

次の金曜日の夜は真っ直ぐ家に帰ろう。