25歳、春。見合いをする。





「明日と明後日、いつ空いてる?」

そんな母の一言ではじまった。




時は大型連休真っ只中。
外出していた母が、晩ご飯の時間を過ぎた頃に帰って来るや否や冒頭の様に聞いてきた。

んー、明日は夜プチ同窓会で、明後日は友達とランチだけど、何?
ってまぁ至って普通に尋ねるじゃない。

そしたら何て返ってきたと思う?




「あのね、お見合いの話を頂いたの」




ん?

お見合い?

誰が?お姉ちゃん?





「ううん。小春ちゃん





ん?






んん〜〜〜〜〜⁉︎




お見合い?
お見合いってあの?
着物着て?
仲人さんがいて?
釣書とか用意するやつ?


鳩が豆鉄砲くらうとはこのことか。
状況が全く理解出来ていない焦る娘をよそに、淡々と余所行き着から部屋着へと着替え終えた母は

じゃあ、明日の昼すぎか、明後日の夕方以降なら大丈夫って相手方に伝えるから。

そう言って、小さな画面に向かって指をせっせと動かしていた。

何やら面白そうな空気を感じ取った姉は、【相手方】とのやりとりを覗き込みながら「この言い回しにしたら?」などとアドバイスしながら、ついでに事の経緯を聞き出していた。

なんでも、仕事で何度か顔を合わせたことがあるご婦人から、お宅のお嬢さん、うちの息子とどうかしら?とお声が掛かったそうで。



なるほど。
でも待って。あなた娘は2人いるじゃない。
普通年上からでしょ。なんで私?

って思ったけど、冷静に考えて
お姉ちゃんはバリキャリ。結婚願望なし。
わたしは普通のOL。結婚願望あり。
そりゃ後者に白羽の矢が立つわ。



ごめんね。愚問だったね。
けど、なぜ母に年頃の娘がいることが分かったのか。

実は一年ほど前に、イケメン芸能人が見れるからという理由で母の仕事についていったことがあった。その時に相手方の目に留まったようで、後に何度か母に接触して機会を伺っていたそうな。



話は分かった。
でも急すぎない?

それが、他県にある企業に就職して大型連休中くらいでないと実家に帰ってこないらしく、向こうへ戻る前に一度会うだけでも、ということらしかった。



まあね、今わたし恋人いないし。
それっぽい人とはよく分かんない感じだし。
最近はジャニーズに浮かれてばっかりだし。
結婚はいつかしたいし。
でも婚活は全くしてないし。

面白そうだし、話のネタに会うだけ会うか。


と、かるーい気持ちで考えていたその時。
明日の昼すぎになったよ、との報せが。




25歳、春。お見合いします。